HRV
心拍変動とは

心拍変動(HRV)とは

 人の心拍は不規則で、脈と脈の間隔は常に短くなったり長くなったりを繰り返しています。この間隔のゆらぎは「心拍変動(Heart Rate Variability/HRV)」と呼ばれ、運動、食事、睡眠、ストレスなどを反映して変動します。心拍変動(HRV)を日常的に測定し解析することにより、心臓の健康や自律神経がどの程度心臓の運動を制御できているかを推測することができ、健康増進や生活改善に役立てることができます。

心拍変動(HRV)と自律神経

 自律神経は心拍、血圧、体温、呼吸、消化、排泄などを制御します。自律神経系は大きく2種類あり、交感神経系と副交感神経系に分けられます。交感神経系は、内的または外的ストレスに反応して、体の闘争反応を制御します。アクセルの役割を果たし、血圧や血糖、心拍数を上昇させます。それに対し、副交感神経系は身体の安静や消化・回復に関連しています。ブレーキの役割を果たし、エネルギーを節約し、消化を助け、心拍数を遅くします。 交感神経系と副交感神経系は、反対の効果を持ち、同じ器官を制御することにより体内の恒常性を維持しています。

 HRVスコアが高いときは、身体をリラックスさせる副交感神経が興奮しています。回復力が向上し、若々しさや穏やかでポジティブな感情が湧いてきます。

 HRVスコアが低い時は、交感神経が興奮もしくは副交感神経が抑制されており、体の回復能力が低下しています。これは、前日の激しい運動や睡眠不足に対する一時的な反応や、日常の様々なストレスに対する慢性的な反応であると考えられています。日常生活において精神的・肉体的ストレスが継続することにより健康とパフォーマンスは大幅に低下し、以下のリスクが高まると言われています。

  • 健康の低下
  • 糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、胃腸疾患などの罹患や進行
  • 死亡率上昇
  • 生物学的年齢の増加
  • 不安/抑うつの増悪

私達の研究

 私達は、Hachiで計測できる様々な生体情報の中でも特に心拍変動(HRV)に注目し、様々な研究を計画しています。なぜなら、過去50年間に発表されたたくさんの研究により、HRVと私達の日常の充足度や様々な疾患が相関していることが明らかになっているからです。ウェアラブル端末の登場によって心拍変動(HRV)を日常的に計測することが可能となり、心拍変動(HRV)のマネージメントが、ひいてはストレスや健康のコントロールが目に見える形で行えるようになってきています。そこで、心拍変動(HRV)を日常的に計測し解析することにより、疾患発症の原因究明や現在の治療の最適化ができると考えています。研究対象として、具体的には以下のテーマが挙げられます。

  • 高齢者の転倒
  • 脳血管疾患
  • 虚血性心疾患
  • 高齢者がん治療の効果測定
  • 妊婦の健康管理

 自分にあった体組成や健康状態を可視化し理解することにより、具体的な健康改善方法や病気の予防方法が明確になります。私達は皆が自分の体を理解し、病気を予防して幸せで元気に暮らせる未来(well-being)を目指しています。